USD
  • USD
  • JPY
  • CNY
  • VND
  • KRW

ホーチミン鈴木不動産のニュース・コラム

ベトナムの税金

ベトナムの移転価格の概要を解説(ローカルファイル・マスターファイルとは)

ベトナムの移転価格の概要を解説

多くの外資系企業は工場を点在させ経営を行っています。財務管理チームは、内部取引が独立企業間の原則または経済的実質主義に基づいているか注意する必要があります。

2017年4月、ベトナム政府は移転価格に関する税制(政令 20)を発表する前は 、ベトナムの移転価格の規則は緩いものでした。投資家は、移転価格方針をあまり気にすることなく市場に参入することができます。

現在、ベトナムへの投資を検討している企業、および既にベトナム国内で事業を展開している企業は、OECDのガイドラインおよびBEPSの行動に基づいた、政令20の厳格な規制要件を遵守する必要があります。

ベトナムの移転価格に係るコンプライアンス

移転価格のルールは、原則、共通の方針としており、どこの国においても凡そ同じ方針となります。ベトナムの規則についても、他国と比較し、わずかな違いはあるものの重要な項目は同様です。

政令20号が発行される前は、ベトナムの移転価格の規定は、独立企業間の原則をその基礎としていました。したがって、政令 20の最大の改正は、経済的実質基準の導入です。海外投資家は、サプライチェーンを構築する際に経済的実質基準についても検討する必要があります。

移転価格 | 経済的実質基準とは

ベトナムへ生産拠点を置くグローバル企業の多くは、親会社をベトナム海外に設置しています。ベトナム現地子会社はただ下請け工場として機能しているケースが多くあります。親会社は、ベトナムの現地子会社へ請求書を毎月作成します。

ベトナム当局が親子間取引に関する費用を損金として承認するためには、経済的実質の原則によれば、取引の重要な目的と経済的効果の証明できれば認められます。しかし、親子会社間取引に関連するベトナム子会社が受けた技術サポート等については、課税所得から控除されないケースも少なくありません。

ベトナム子会社が自らが営業活動を通じて獲得した収益について、独立した第三者間取引価格であれば、損金として扱われる可能性があります。

移転価格規制に関する義務

risk
関連当事者との取引を締結したベトナムの納税者は、政令20に基づき義務を負うことになります。この章では、移転価格に関する納税者が負う義務について解説します。

年次確定申告書の提出

関連当事者との取引に従事するベトナムの企業は、その関係と取引を年次確定申告書に開示する必要があります。移転価格規制の対象となる納税者は、政令 20に添付されている様式01を提出し、移転価格に関する取引内容を開示する必要があります。さらに、関連当事者間取引が独立した第三者間価格として立証にするため、納税者は関連資料を提供する必要があります。

提出期限

会計年度末から90日以内に、必要な情報や資料を収集し、提出しなければなりません。時間の制約が厳しいため、親子間取引を実施する際は、慎重な計画が必要です。

移転価格の同時文書化

移転価格の同時文書化は、納税者と関係者との関係、移転価格の方針、企業グループ内のすべてのメンバー/事業体間の利益配分等を文書化することを目的としています。

法令20に従い、特定の基準を満たす納税者はローカルファイル、マスターファイル、国別報告書(CbCR)を含む、移転価格の同時文書を作成する必要があります。

ローカルファイル:個々の関連者間取引に関する詳細な情報
マスターファイル:多国籍企業の事業概要
国別報告書: 国別に合計した所得配分、納税状況、経済活動の所在、主要な事業内容

マスターファイルとCbCRは、通常本社によって作成されます。これらの文書はすべて、政令20に規定されている様式02、03、04を利用し提出しなければなりません。

移転価格 | 同時文書化の免除規定

政令20に従い、以下の条件のいずれかが満たされる場合、移転価格文章の作成が免除されます。

・総収入は500億ドン(250万米ドル)以下
・関連取引の総収入は300億ドン(150万米ドル)以下
・移転価格事前確認APA(Advanced Pricing Agreement)の年次報告書を提出済み
・ベトナム子会社は単純な機能のみを有し、売上高は2,000億ドン(1000万米ドル)以下
・EBITを基準として、5%(物流)、10%(製造)、15%(委託製造)
EBIT=税引前当期純利益+支払利息-受取利息
(earnings before interest and tax:イービット、金利の影響を除いた収益指標)

移転価格のリスクとペナルティ

取引が独立企業間取引の原則に従って価格設定されていないと税務当局が判断した場合、税務当局は取引の価値を調整し、それに応じて税を課します。さらに、実質上の原則に従って、他の関連会社に利益を提供することのみを目的とした取引から生じる費用は、控除の対象にはなりません。

税源浸食と判断された場合、企業は刑事責任を問われる可能性もあります。税務当局は準拠していない企業、不正行為を行った企業の詳細をウェブサイトで公開しています。
一般に公開されることによって倒産する企業も少なくありません。

移転価格に係る実施すべき施策

action
最近では、移転価格への関心が世界中で高まっています。各企業はコンプライアンスを遵守し、リスク管理を徹底し、必要な措置を実施することが重要です。

情報開示

すべての企業は、関連当事者間の関係および取引に関する情報を規定の形式で、必要な期間に従って開示する必要があります。

リスクアセスメント

関係会社間取引を徹底するためのリスクアセスメントを実施し、着実な移転価格戦略を作成する必要があります。

同時文書の作成

政令20に該当する納税者は、同時文書を作成する必要があります。基準を満たさない企業においても、関連当事者間の取引を正確に文書化し、税務署から問い合わせや監査通知を受け取った場合には、客観的・論理的根拠に基づく説明をする必要があります。

移転価格事前確認 APA

納税者は、地方の税務当局と移転価格事前確認書面(APA)を締結することによって、移転価格のリスクを積極的に管理することができます。

ベトナムの移転価格の状況

経済協力開発機構(OECD)の「税源浸食と利益移転に係る行動計画(Action Plan on Base Erosion and Profit Shifting):BEPS行動計画」に基づき、政令 20の導入を通じて、関連会社間、関連当事者間の取引はますます厳しく統制されています。

ベトナムでは、対象企業は、コンプライアンスを確実に遵守し、効果的にリスク軽減策講じる必要があります。企業内に移転価格の実務専門家を要しない場合には、外部に適切なアドバイスを求めることが重要です。

ホーチミン不動産では、現地の情報に加えて、ベトナムの会社設立方法から、労務、税金についてもご紹介しています。

ベトナム ホーチミン 鈴木不動産

私たちは、ベトナムのホーチミンを中心として、
マンション、オフィス、投資不動産の賃貸、購入のサポートをさせていただいております。

これまでは、中国系、香港系、韓国系、シンガポール系、欧米系の投資家の方々が多い現状の中、日本人の海外不動産購入者も徐々に増加傾向を示しています。

弊社はベトナムの大手デベロッパーとの取引はもちろん、
世界大手の不動産会社との提携を通じて、購入者様にデータを持って、
ご案内させていただいています。

当ホームページでは、ベトナムを中心として、
最新の不動産・経済・旅行・イベント系のニュース記事をご紹介しています。
また、筆者の香港における戦略コンサルタントの経験から、
コラム記事では、不動産、経営、会計、税務、労務についてもご紹介しています。
もしよろしければ、覗いてみてください。

スクロールアップする